診療のご案内
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Medical information

当院の抗菌薬を使った感染症治療について

当院での鼻汁や耳漏など感染症治療の方針

HNK-TVや朝日新聞の報道のように身近な市中感染症でも耐性菌が蔓延しています。
当院では耐性菌蔓延、治療の遷延を予防するため、大部分の医師のような経験に元づく抗生物質投与は原則としておこなっていません。鼻汁、耳漏などはグラム染色検査をして白血球が細菌を貧食していれば原因菌と判断します。原因菌の種類により一番有効な抗菌薬を、有効量、有効間隔で内服してもらっています。長年の研究データに基づきます。日本は安全性を強調するあまり使用する量が少ないので、発売当初は効果があっても時間が経過すると効果が低くなります。
血中濃度や、目的とする組織への移行性により量を調整します。1日2回では効果がなく、どうしても1日3回でなければ効果が無いことがあります。結果的に当院は鼻汁停止、中耳炎治療は早いと思います。小児科、耳鼻科、内科で治療しても良くならない患者さんが多数来院されます。
院長は45年にわたり耳鼻咽喉科感染症研究、治療のトップランナーです。グラム染色検査は短時間で結果が判明します。感染症治療の基本ですが、耳鼻咽喉科はもちろん、小児科、内科でもこのような検査を行って抗菌薬選択をしているところは日本中で極めて少ないのが現状です。
耐性菌蔓延、なかなか改善しないで悪化することを防止するため処方薬は処方のように全て内服させて下さい。決して都合で適当に内服させない、残しておいてまた後日内服させないでください。原因菌が異なれば薬も違います。
つい最近経験した例です。耳漏が2週間ほど止まらないのでインターネットを見て来院。中心性鼓膜穿孔があり、耳漏(++)を認めます。膿性後鼻漏を多量に認め、咳の原因になっています。膿性目やにがあり結膜炎も合併。典型的な鼻副鼻腔炎ー結膜炎ー中耳炎症候群です。鼻汁、耳漏のグラム染色はそれぞれグラム陰性小桿菌貧食+。従って原因菌はインフルエンザ菌と推定、的確な抗菌薬を処方し5日後には耳漏が停止。前医はCDTR-PIを3mg/kg、1日2回で内服の指示。吸収性がきわめて悪いのに、処方量半分と少ない、1日2回ではなく3回必要(薬動力学的常識から外れ)。

当院の感染症に対する抗生物質の選択について

中耳炎、鼻副鼻腔炎(ふくびこうえん)など感染症に対する抗生物質の選択について、大部分の医師は今までの経験値に基づいて抗生物質を選んでいきます(経験値的な治療)。それでは原因細菌と抗生物質とがきちんと合っているか否かは神様のみ知ることになります。

当院では初診時から極力的確な抗生物質を患者様に内服してもらうため、細菌培養検査を外注すると同時に、診療所内でグラム染色検査を行います。その結果で抗生物質を使い分けしています。


また投与量や内服する間隔も抗生物質の体内動態を知った上で使用しています。
一部の医師は投与量が少なすぎたり、1日3回内服が必要なところを2回で、あるいはその反対に2回を3回で投与しています。これでは、抗生物質が期待する力を発揮できないのです。抗生物質はなんでもいいということでは良くはなく、飲み方も適当では駄目なのです。


鼻汁、咳きが続き、他の耳鼻咽喉科病院で各種の抗生物質の薬を取っ替え引っ替え、処方されていた子供の患者様がいました。(経験値的な治療)しかし、全く症状に改善が無いため、知人のご紹介で当医院へ診療にきました。副鼻腔炎があり、鼻汁が気管に流れることが咳きの原因と診断しました。鼻汁を、
細菌培養検査(結果が出るのに4~5日必要)を依頼すると同時に当院で、
グラム染色検査(迅速診断法、30分ぐらいで判明)を行い原因細菌が推定できたので、検査に基づき適正な抗生剤を処方しました。7日後の受診時には鼻汁、咳は消失、母親は喜ぶと共に、いままでの2ヶ月はなんだったのでしょうかとつぶやいていました。このように抗菌薬と感染症の原因細菌とが合うと短時間で症状が改善されます。

グラム染色検査

好中球がカタル球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌を貪食している画像
(貪食されている菌は原因菌と推定)

グラム染色検査

実際の症例

家族歴とグラム染色検査から耐性肺炎球菌感染症と推定、抗菌薬を選択した症例

実際の症例